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牛の死の乗り越え方
先日、子宮捻転で帝王切開した牛はおかげさまで元気になりました。
F1の子牛は残念ながら死産でしたが、母牛が無事で何よりでした。

酪農に限らず畜産は動物の死と向き合わざるを得ない仕事です。
希望を持って新規に研修を受けながら、家畜の死に直面しショックで就農を断念する
方も少なからずいるので確かにショックな出来事なのだと思います。

一言で言うのは難しいですが、私の場合(おそらく主人も)は牛のことをペットのような
愛玩動物とは思っていません。子牛は猫かわいがりするし病気をすればできるだけの
看病もするし、なるべく長く飼えるように無理に乳量を追求して牛に過度な負担は
かけないようにして、愛情を持って家族の一員とすら思っていても、です。
ある意味では残酷な言葉ですが「経済動物」という現実的なことも忘れてはいません。
おそらくどこの酪農家も、時々ペットなどでみるような莫大な医療費を払っての
延命治療をする人間はいないと思います。収支を見据えてベストと思うケアを
する。これが経済動物です。

私も、結婚以来多くの牛の死を見てきました。死産や流産。そして先天的な病気を
持った子牛の死。心不全で急死した出産直前の牛。治療の甲斐なく屠場に
送るためにトラックに牛を乗せるときのやりきれない気持ち。それでも搾乳は
しなければならず日々は動いてゆく。気持ちは落ち込んでもそれに溺れては
いられないのが動物を付き合うことが生業の仕事です。それでもベーベが2003年に
産後の経過が悪く亡くなったときはなかり落ち込みました。それでも仕事は
していたので私も強くなったと思います。

競馬の一流のジョッキーもレース中の事故で騎乗馬が予後不良になるとかなり
ショックを受けるそうです。それでも彼らはプロとして次のレースにのり普段と
変わらず調教もする。レースに乗ることで愛馬の死を乗り越えると聞きました。
冷静なことで知られる武豊さんも騎乗していた1998年の秋の天皇賞のレース中の
骨折で死亡した希代の逃げ馬・サイレンススズカの死は、その晩泥酔するほど
ショックをうけたそうです。(私もTVでこのレースを見て激しいショックをうけました)
武豊さんは最近のインタビューでサイレンススズカのことを聞かれ

 「今でもよく思うんですよ。海外に行ってどんなレースをしたのかな。
  どんな子供をだしたのかなあと。あれだけの馬でしたから」

と答えていました。この言葉は牛の死と向き合うたびに心に浮んで
私の支えになっています。世界は違いますが何故か心に響いて。
死を悼みながら冷徹でなければならない。
矛盾した気持ちを抱えながらどの畜産農家も努力しています。

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プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

ベーベ工房のアドレス

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