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塩野七生「ローマ人の物語」危機と克服
世界史で受験した時も、大学で英米法を専門的に学びその一環としてローマ法大全や
古代ローマのことをかじった時もずっと疑問だったのが、

何故五代皇帝ネロの自殺~三皇帝の年~ヴェスパシアヌス朝の約35年というローマの存立の
危機を経ながらトラヤヌスなどの五賢帝時代にローマ帝国は内外ともに最盛期を迎えたかと
いうこと。

塩野さんのローマ人の気質にまで踏み込んだ解釈でようやく疑問が氷解しました。

69年ネロは悪政を重ねて元老院(日本でいえば国会)に不信任をされて自殺に追い込まれます。
「ローマ皇帝」と言いますが、天皇やイギリスの国王と違って元老院とローマ市民が権力委託の
承認をして、かつ軍団が忠誠を誓って初めて「インペラトール(皇帝)」となれる。
つまり君主制には珍しくチェック機能が働いているシステム。これがローマ帝国の皇帝です。
だから、元老院と市民がNOといえば皇帝といえど、タダの人となります。

初代のアウグストゥスが共和制に見せかけて君主制を敷く巧妙な方法で築いた君主制。
でも広大なローマ帝国を統治するにはこの方法がベストと国民は理解していたため、
君主制を変えようという意識はローマにはありませんでした。問題はトップが誰かということだけ。
このあたりを塩野さんは次のように記述しています。

 ローマでは、権威と権力は、常に同一者に集中してきたのだ。ローマ人が、血統よりも
 実力を尊重したからである。(文庫版20巻より)

 ローマ人が考える血統とは、現代で言う付加価値ではなかったかと思う。ローマ人は
 あくまで実力の世界の住人であったのだ。(文庫版20巻より)

 (ローマ人は)リアリストの集団であった。68年夏から1年半の混迷も、政体模索の混迷
 ではない。今後とも帝政でいくことではコンセンサスが成り立っている。(文庫版20巻より)

ネロまではアウグストゥスの血を僅かでも引くものを皇帝として認めたローマも、その後は
この血統に見切りをつけて決別します。ネロ以降の皇帝はすべてアウグストゥスとは
無関係な出自です。軍人、ローマ貴族etc.
そしてローマ帝国最大の領土を実現した五賢帝のトラヤヌスは初めてローマ以外の属州
(現在のスペイン)出身者として皇帝に推挙されローマの全盛時代を作り上げます。

書きながら思い浮かべたのが1年あまりで政権を投げ出した、元首相のお二人
安部氏と福田氏。福田氏はまあ官房長官くらいの器はあったと認めます。
でも安部氏に至っては、ある評論家に「受験すら経験していない」と揶揄されたほどの器。
安部氏が若き総裁候補としてもてはやされた時、祖父の岸信介元首相や、父の安部晋太郎
氏の血を引いているから、という安易な雰囲気を国民が認めてしまったように思います。

世襲議員全てが悪いとは言いません。本人に実力があれば、ですが。(笑)
ネロでアウグストゥスの血の価値を見限ったこと。これがローマ帝国の発展の礎とは
思ってもいなかっただけに塩野さんの緻密な考察がとても斬新でした。
既得権で得をする取巻きがいればなおのこと、世襲制というものはなかなか回りでNOを
言い出せないのかもしれません。でもNOを出す時期を間違えると結局自分が苦しむことに。
総選挙が近いといわれる中、リアリティを持って読みました。
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プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
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