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「ブランドはなぜ堕ちたか」から6年経って
これは角川文庫で発行された文庫本です。2002年の3月に発行。
著者は産経新聞取材班です。

先日久々にこの本を読みました。雪印が食中毒事件から会社の分解をするまでのことが
書いてあります。興味深かったのは雪印がかつての酪農家たちの組合からただ利益を
追求する企業に変容するまでには、牛乳の安売り戦争、乳業メーカーと酪農組合の
相互不信と決裂という現在の、酪農の危機的な状況の大きな原因となることが
詳しく述べられていることです。

そして酪農家が自分の利益を守って行くためには自分で生産した牛乳を自分達の手で
加工し、販売しなかければならない、ということは今に始まったことではないという大切な
ことも詳しく触れられていました。

雪印の前身の組合は自分達の経済自立と農業振興を目指して約600人の酪農家の出資で
始まりました。

その素晴らしい組合が規模が大きくなると共に、「酪農」と「メーカー」に分離。
企業となったメーカーは少しでもシェアを伸ばすためにスーパーの要求を呑む形で
牛乳を少しでも安く売ろうとします。その結果安全や衛生面に無理がいく様になりあの
2000年の食中毒事件が起こります。

そして少しでも安く牛乳を買い上げようとするメーカーと酪農組合の対立。
相変わらず目玉商品として牛乳を廉価販売したい量販店..........。
現在の酪農危機の背景にあるものは何も変わっていないということがショックでした。

そのような生産者(酪農家)~消費者までのいびつな関係が、2000年には食中毒という最悪の
形でクローズアップされ、飼料の異常な高騰が深刻になった去年秋以降は酪農家の
経営危機という問題が前面に出るようになりました。

あの食中毒事件で乳業メーカーの再編がありました。あの時もう少し生産者との健全な
信頼関係の再構築や、廉価販売対策などを腰をすえてやってくれれば、と思います。

この本を読んでの救いは私たちが純粋な気持ちで
「自分達の納得の行く製品を自分の手で、自分で生産した牛乳で作って販売する」と考えて
ベーベ工房を始めたことはとても正しい選択だったということを再確認できたことです。

以前のエントリーで書きましたが、酪農家(生産者)から消費者まではいくつもの中間部門が
あってとても生産コストに見合った乳価のアップは期待できそうにもありません。
酪農家有志達は30円アップを目指して集会やデモを行っています。
それでも壁は高いのが現状です。

私たちはこの現状に自分の手でやっている「ベーベ工房」という小さなブランドをきちんと
やることで挑戦したいと思います。
牛を健康に愛情を込めて飼い、安全な牛乳を作り、安全でおいしくセンスの良い製品を
お届けすること。できることはこれだけです。

できることをすべての努力で行い、それでももし酪農を維持できなくなればその時は
潔く酪農をやめるだけです。それだけの覚悟は持ってベーベ工房のブランドを維持して
いきたいと思っています。

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プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

ベーベ工房のアドレス

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