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西山記者事件
先日の日曜日からスタートしたTBSドラマの「運命の人」。(山崎豊子原作)
有名な沖縄返還密約を背景としたいわゆる西山記者事件をモデルにしたもので
ドラマを見て本当に久々に法学部の学生の頃授業のため購入した憲法判例百選を
開いてみました。いわゆる西山事件と言われるものは背後にある国家機密そのもの
に関する判決ではなく、記事の取材方法の違法性に関して西山太吉元毎日新聞記者が
国家公務員法違反に問われて結局最高裁で有罪になった事件です。

百選Ⅰ№82、S53.5.31) 傑作(0)
【事案概要】

Xは毎日新聞政治部記者として、外務省の女性事務官Aをホテルに誘って情を通じた上で
Aに対して外務省の機密書類を持ち出して見せてほしい旨の依頼をした。Xに対して好意を
抱いていたAは、Xの依頼に応じて文書を持ち出すことを決意し、その後数十回にわたり
Xのために秘密書類を持ち出してXに見せた。Xは、Aと情を通じ、これを利用してAに
秘密文書またはその写しの持ち出しを執拗に迫り、職務上知ることのできた秘密を漏らす
ことをそそのかしたとして国家公務員法違反を理由に起訴された。
第一審はXを無罪とした(違法性阻却を認めた)が、第2審は有罪としたため、
Xは上告。

【訴訟類型】
刑事訴訟

【判旨ポイント】
①報道の自由につき、博多駅事件を援用。
②報道機関が取材目的で公務員に対して秘密を漏洩するようそそのかしたからといって、
そのことで直ちに当該行為の違法性が推定されると解するのは相当でなく、それが真に
報道目的から出たものであり、その手段・方法が法秩序全体の精神に照らし相当なものとして
社会通念上是認されるものである限りは実質的に違法性を欠き正当な業務行為というべきである。
③しかしながら、手段・方法が一般の刑罰法令に触れない場合であっても、取材対象者の人格
の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らし社会観念上是認することの
できない態様のものである場合には正当な取材活動の範囲を逸脱して違法性を帯びる。
④本件では、Xは、当初から秘密文書入手手段として利用する意図でAと肉体関係を持ち、
Aが右関係のためXの依頼を拒みがたい心理状態に陥ったことに乗じて秘密文書を
持ち出させており、これはAの人格の尊厳を著しく蹂躙したものと認められるので
社会通念上到底是認することのできない不相当なものであり、正当な取材活動の範囲を
逸脱したものというべきである。


事件から40年近くが経過し、沖縄返還に関する密約が存在したことや国家機密の概念
さらに取材や報道のモラルのあり方など当時と大きく意識も異なりその中で今も
この事件は表現や報道の自由という基本的人権に関する判例として法学部の学生で
あれば学んでいると思います。

私はここで国家機密についての事件が当時の佐藤道夫検事(後に参院議員)が起訴状に
「情を通じ」の一文を入れたことでそれまでは報道の自由・国民の知る権利の自由の
問題といういわば高尚な問題が一気に西山記者と彼に情報を漏らした外務省の女性職員の
スキャンダルとワイドショーネタになったことについては、深い専門知識もなく安易に
批判することは避けたいと思います。

学生の頃、ゼミでもこの判例は話題になりましたが、ゼミにはマスコミ志望の学生も
多く(実際に新聞記者になった者もいる)どちらかというと西山記者はヒーローで
権力のいけにえになったアンチヒーローのように受止める雰囲気も若さゆえに
一部の男子学生の間にあったことを思い出します。
私は、外務省ではありませんが父が官僚という環境もあり家では概ねこの判決の通り
「取材モラルの違法性」ということを親に教えられた記憶があります。

ドラマレベルかもしれませんが自分が当時の西山記者より年齢が上になった現在
感じるのは、本当に取材や報道の自由と権利を守りたいならばやはり男女関係を
通じて情報を得たり、ましてやその原本を野党の議員に渡して国会で追求させる
方法は法的にも倫理的にも問題があり、マスコミの堕落にも加担してしまったのでは
ないかという残念な気持です。

聖人君子ぶる気持はありませんが、私は佐藤優氏が自身の拘留体験を描いた大作
「国家の罠」の中で担当の若手検察官との会話に触れていて、その検事が
「自分にも正義がある。その正義を保たないとこの仕事はできない。
検事の堕落はまず不倫から始り、次は弁護士などに下って暴力団との関わり
になっていく。自分はそのように堕ちてゆきたくない矜持はある」と佐藤氏に
語ったという箇所が心に残るのですが、やはり記者としては有能だったにせよ
西山記者については(報道はきれいごとではないといわれるかも知れませんが)
素晴らしい記者の生命を国家が葬ったという意見には組せないでいます。

国家というものはどれでけリベラルを掲げてもやはり不都合な報道を
するマスコミについては制限をかけたいという本能のあるものだと思います。
真に正しい情報を国民に知らせるためにも少なくとも明らかに倫理的に
問題がある行為、ましてや判決文に生々しく「肉体関係を持ち」などと
記される行為による情報の取得だけは慎むべきだと考えています。
国民の支持がなければマスコミも権力ではありえませんから。

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(非公開コメント受付中)

同感です
西山事件は別の観点から拙ブログでも取り上げましたが
生理的嫌悪感しか感じない事件でしたね。
報道の自由は、社会通念上到底是認することのできない
不相当な手段でも保障されても構わない?
そんなはずないでしょ。

かなり古い本ですが、
池田潔「自由と規律-イギリスの学校生活」という名著があります。
マスコミ関係者は全員この本を読んで
顔を洗ってとっとと出直して来い、と言いたいです。
Ri~naさん
共感していただき嬉しいです。

ドラマの中では販売競争がこういう行き過ぎた取材に
繋がったとも取れる描写がありますがあるいはそういう
背景もあったかもしれません。

この事件は扱う事例があまりにも大きかっただけに
少なくとも最低限のモラルを持った取材をして欲しかったです。
そうすれば国家機密についての概念ももっと進んだものに
なっていたでしょう。
この最高裁判決はリベラル派の団藤重光判事も加わっていて
よく読むと「ある程度はあこぎな取材方法もやむをえない」
とも読める取材の自由を最大限認めたものです。
その判決すら西山氏のやったことは不当だと言っています。

2010年、一部損害賠償請求が認められた西山氏が老いた姿を
マスコミの前に現しました。
一部マスコミはヒーローのように扱っていましたが
新聞記事の重みに傷をつけたのは皮肉にも西山氏だったとの
思いがぬぐえないでいます。
プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

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