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山際淳司 「スローカーブを、もう一球」
先日、京都旅行に行く際に、新幹線に乗る高崎駅の書店で
二冊の山際淳司氏(以下敬称略)の作品を買いました。一冊は若き日の
清原和博選手を描いた「ルーキー」もう一冊はこれで単行本
になって三回目の「スローカーブを、もう一球」です。

「スローカーブを、もう一球は」山際淳司の代表作でもあり
日本の文学界にスポーツノンフィクションという分野を確立した
金字塔ともいえる「江夏の21球」も収められており昭和60年に
初版、私が手に取った版は実に60版を数えています。
この作品集には8つの短編が収められていますがうち野球に
関する話が4編です。

江夏の21球は1979年の日本シリーズ広島対近鉄の9回裏の無死満塁の
ピンチを無得点に抑えて広島を初の日本一に導いた江夏豊投手の
プロ野球史に残るドキュメンタリーとして有名です。
そしてこの本の最初の作品「8月のカクテル光線」は江夏の21球の約3ヶ月前に
甲子園で繰り広げられた箕島高校と星陵高校の延長16回の死闘を描いたものです。

山際淳司の作品を読んでいつも感じるのは、感動を同じ時代に
分かち合うことのできた幸福な共有感です。
箕島対星陵と江夏の21球の年、私は高校二年でいずれの試合も
テレビ中継を夢中で観ていました。後に山際作品によって
伝説になった江夏投手のスクイズ外しも、星陵の加藤一塁手の
無念のファウルボールの落球も当時の歓声とともに
今も鮮明に覚えています。

スポーツノンフィクションは文学作品とも違うし、同じノンフィクションでも
国家的な感心事である政治や航空機事故などと違い、ある意味ではごく一部の
人間たちが観ただけの、ほんのわずかな時間に繰り広げられたスポーツにまつわる
感動の共有を時間を置いて読者に問いかけるという特殊性があるため
後々まで世代の違いなどを超えて、読者をその瞬間の出来事に惹きつけるには
取材力や描写力だけではないプラスαの魅力が必須になります。

山際さんが作家デビューされて一番充実した作品を書かれた時代は
私の高校生~大学生の時代で特に野球に関しては体育会でスポーツ
新聞の記事を書いていたこともありほとんど著名な試合は
リアルで観ていました。山際作品にはあの徳島の池田高校を
描いたものもありますが、当時の多くのファンのご多分に漏れず
私も池田高校の校歌を歌えるくらい大ファンでした。

山際さんはその後作家としてもスポーツキャスターとしても
活躍されましたが1995年46才の若さで癌のために逝去されました。
聞くところによると、端正な容姿でメディアにも引っ張りだこに
なった晩年は多忙で思うような作品が書けずストレスをためたそうで
それも氏の死期を早めた原因の一つとも言われています。

「スローカーブを、もう一球」は恐らく次代でも読み継がれて
行くであろう山際淳司の代表作です。若い方にも是非お奨めです。

タイトルになった「スローカーブを、もう一球」は1981年のセンバツに
初出場した群馬県髄一の進学校高崎高校の川端俊介投手を描いた作品です。
あれからもう29年。この名作のタイトルが「おらが地元」の高校のことだと
何人の人が知っているのだろうかと高崎の書店のレジに立ったときに
ふと考えたものでした。


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プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
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