久々に読書の話を。
最近、本当に久々にフランスの哲学者アンリ・べルグソンの
名著「笑い」(岩波文庫)を読んでいます。
この作品も笑いを古典喜劇を通じて分析する哲学書なのですが
カントなどのドイツ形而上学的な哲学と違って演劇などを
ひきあいに出しながら、笑いを分析している本作は比較的
読みやすい哲学書だと思います。

ベルグソン(1859~1941)はフランスの哲学者で教育者です。
流麗な文章による哲学書で1927年にはノーベル文学賞も受賞。
リセの教師を経てコレージュ・ド・フランスという国立の
一種の市民大学で教え(毎回立ち見が出るほどの人気)
正規の大学の教授にはならなかった偉大な哲学者でした。
彼のわかりやすく生き生きした表現はこの経歴によるのかもしれません。
私は法学部でしたが、私の母校は比較的一般教養の語学や
国語そして専門過程でも法哲学などに力を入れていました。
ベルグソンに関心を持つようになったのは、フランス語の授業で
イヨネスコの戯曲「授業」をやったことからモリエールなどの
古典喜劇を語学の若い講師に教えられたことがきっかけです。
それ以来、私の人生の中でユーモアやコメディは欠かせないもの
になっています。ベルグソンの「笑い」を仔細に読むと硬直した
社会へ一矢を報いる手段が笑いということが述べられています。
話が変わりますが今年の私立大学の受験者数で母校の明治大学が
早稲田を抜いて初の日本一になりました。入試の方法なども
影響していますが、OGとして素直に嬉しいです。
専門科目もある程度の優も取りそれなりに頑張りましたが
今もって心に残っているのは国語でやった森鴎外とフランス語
でやった戯曲です。それだけでも行った甲斐がありました。
笑いがなければ私は農村の生活に潰されていたかもしれません。
謹直だった義父の次の代は真面目さに笑いを加えた家風にしたいと
心から願っています。
PS
ベルグソンを出すようなお国柄だからこそフランス文化省は
北野武監督に芸術文化勲章の最高位コマンドールを授与したのでしょう。
そういえば北野武監督も明大でしたね。