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お知らせ
私事ですみません。
息子がB型インフルエンザにかかってしまいました。
解熱剤を入れて寝かせています。
最近は春先までインフルエンザが流行して困ります。

明日まで更新をお休みさせて下さい。

異動や新学期の慌しい季節。
みなさまもどうぞくれぐれもご自愛下さいね。

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ピエモンテの山羊のチーズ(2)
昨日のエントリーの続きです。

Nature.Seasons.Wine&Food

Aogyさまの記事の中の農家の主婦の生活の様子に触れられた部分に
私は特に感情を動かされました。
Aogyさまがチーズを買われた農家の奥さんも一日中家畜の世話や畑の手入れ
そして家事のために忙しく敷地内を動き回っている様子ですが、私もまさしく
同じような生活を送っています。電話に出られない理由も多くは牛舎に行っていたり
するためです。この記事にあるように我が家にも愛犬が1頭いてけっこう働きを
みせてくれています。

ベーベ工房を始めるにあたって直売所を作らなかったのも、立地条件や常時
販売用のパートを雇う余裕がなかったことに加えてこのような農家の主婦の慌しい
生活という理由もありました。

Aogyさまの記事に励ましを受けたのは、本当においしい伝統的な製造方法で
作られるチーズは決して莫大な資本を投下した設備の中からではなく
生活の音が聞こえるような作業部屋で、ささやかな道具を使って生まれると
いうこと。チーズ職人の手はチーズを作るだけでなく家畜の世話をして畑を
耕す手でもあるということ。こういう中から生まれるチーズにイタリアやフランスは
高い評価を国の制度で与えています。心から賞賛したいと思います。

Aogyさま、農家へのやさしさにあふれた記事を本当にありがとうございます。
素晴らしい記事を私に捧げてくださったお気持ちに恥じない生産と生活を
これからも続けてゆきたいと思います。
心からの感謝を申しあげます。ありがとうございました。

ピエモンテの山羊のチーズ(1)
このブログのリンク先でもあり海を越えた友人でもあるAogyさま。
彼女はイタリアのピエモンテ在住の翻訳家で、スローフードやワインについて
優れた記事をブログで書いておられます。
昨日のこの記事の最後に「けいさんに捧げます」という一文があり、私は感激で
涙が出ました。ショパンのバラード第4番を献呈されたシャルロット・ロスチャイルド夫人も
今の私のような心境だったでしょうか?


Nature,Seasons.Wine&Food

ピエモンテで山羊が出産するこの季節にだけ作られるチーズ「ロビオーリ」。
Aogyさまの記事にあるように山羊の乳からだけ作る農家製のロビオーリは地元消費
だけで市場にまして日本で出回ることはまずないそうです。何故なら少量しか
作れないからです。 

ロビオーラ

Aogyさまのエントリーの美しい写真と詳細な文章をご覧いただければおわかりと
思いますが、農家のチーズ作りはこんな風に生活と仕事が一体化した中で本当に
少量を家畜(牛や山羊や羊)を飼うところから始まります。
ベーベ工房のチーズは牛乳製なのでロビオーリと違い一年を通じて作れますが
それでもモッツァレラは多くて120個以下、リコッタは50個の製造が限界です。
首都圏のお取引先に扱っていただく量で大半が消費され、残りが個人のお客様に
ご注文いただいたものとなります。特にリコッタチーズはオーダーの数に応じきれない
ことも多く本当に申し訳なく思うこともしばしばです。

牛乳製のチーズは通年製造できますが、それでも牛乳も四季があり特に春の牛乳の
チーズが一番おいしく感じます。まして山羊のロビオーリは春のこの季節だけ。
どれだけたくさんの方が楽しみにしておられるでしょう!

Aogyさまは本当に小さな生産者への愛情を持って下さる方で、このエントリーでも
農家からお金を出して買っておられるにもかかわらず「分けていただく」と本当に
生産者と自然の営みに対しての一種敬虔にすら感じる気持ちを持たれている姿に
心から感動しました。私たちですら時々個人のお客様からご注文をいただき

     「チーズを分けていただけますか?」

と言われたときはえもいわれぬ感動を覚えます。
食や自然への自然な形の感謝。大きな愛情に包まれたそんな気持ちこそが食や文化を
守り次代に繋げてゆく原動力だとAogyさまのエントリーで実感させていただきました。

このエントリーには貴重なフェルミエ農家の生活に関する記述もあります。
それについては明日書きたいと思います。
軸がぶれないということ
先日、念願の邂逅を果たした外国から来てくださった友人も分野こそ違え
食の世界で頑張ってこられた方です。
その彼が(その前にもメールで不安を聞いていただいていたのですが)

「けいさんご夫婦の製品も生き方も軸がぶれていないからこれからもやれますよ」

という素敵な励ましを下さいました。

軸がぶれない。私たちに当てはめて定義すると、堆肥を還元した畑で牧草やとうもろこしを
作り、子牛から健康に愛情を込めて育てて安全な牛乳を搾り、その牛乳でおいしい
ヨーグルトとチーズを作るということ。かな?

この定義はベーベ工房をやっている間は変わることはないでしょう。
変わるとしたらもう一種類くらいチーズの種類が増えるとか、半分は私の
趣味であるシールやパンフレットのデザインが変わるくらいだと思います。
小規模なフェルミエ農家が何百万という機械を導入して大量生産に走るとか
大企業に委託生産するとかそのようなことは100%ありえません。

ところで先日読んだ業界紙でヘルパーをとっても酪農家の年間の休日は17日
とありました。土日休みだけでも121日という時代に。
ものすごい条件の下働いているのだなと実感しました。
これだけ忙しければ妙な儲けのことを考える余力はありません。人間は暇だと
ロクなことを考えないといいますが本当かもしれませんね。

ともあれこれからも軸のぶれない製品は作り続けてゆきたいと思っています。
応援していただければこれに勝る喜びはありません。
宅配便のこと
ベーベ工房の製品は県外に出荷している割合が高いです。
だから宅配便は欠かせない販売ツールとなっています。
ヤマト、日通、佐川とさまざまな運送会社がありますが群馬から送ると
本州なら次の日の午後には届きます。

何かの本で読んだのですが、ヤマト運輸が先駆的な役割を果たした宅配便
つまり小口の個人レベルでも取り扱う特に冷蔵・冷凍便(クール便)は
食の世界に革命を起したそうです。例えば私たちのような小規模生産者は
クール便がなければ(トラック一台などとても無理なので)製造活動が
できなかったでしょう。またレストランなどで誇らし気に黒板に書かれている

         今日の食材 ○○県産の野菜

などの板書もクール便がなければありえなかったと思います。

もう10年以上もクール便にお世話にっているとその価値を考えることも
なくなっていたのですが、最近大切な友人が近い将来レストランを開くに
あたって候補地を思案している姿を見て、食材は今は国内のほとんどの場所から
産地直送が可能なので、レストランを開く場所も例えば家族の事情も考慮できる
余地があるのだと気づきました。社会と経済の健全な発展には物資が安全に
安定的に輸送できることが不可欠だ、と塩野七生さんが著作「ローマ人の物語」
で繰り返し述べておられますが、その代表的な事例がまさに自分の足元に
あったのだと友人を見て実感されました、灯台もと暗しの典型ですね。(笑)
海の向こうから
外国にいるブログのお友達が日本へのお里帰りの中、わざわざ群馬にお立ち寄り
下さって念願の邂逅となりました。
食の仕事という共通点はありましたが、趣味のクラシック音楽での話は
これ以上のものはないというくらい感受性が合い本当に幸せなひと時でした。

海の向こうからささやかな私のブログにコメントを下さってから8ケ月。
食や農業や趣味の話題でメールをやり取りさせていただきお互いの仕事への
考え方を交し合い、時に悩み事を相談し海を隔てて貴重なおつきあいをさせて
頂いてきました。穏やかで柔らかでそして初々しい雰囲気のお二人に実際に
お会いしたときは言葉にならないほど感激しました。
そしてたとえ拙い内容だとしても強い意志を持ってブログを書いてきて本当に
よかったと思いました。

遠い海外からわざわざ私たちに会いに来てくださったご夫妻とそして群馬の
食材についてご助言下さるためにご多忙な日々の中、貴重なプライベート
タイムを割いて貴重なアドバイスを下さった行政担当者に心からの
感謝をこの場を借りて述べさせていただきたいと思います。
適正価格
ホンダのハイブリット車インサイトが当初予定の3倍の売れ行きで絶好調だそうです。
不況といえど車が必需品の地域や人間にとって、200万円以下でのハイブリット車は
何といっても魅力的です。(私事ですが我が家でも現在の車が13年目を迎え
買い換えるにあたってインサイトは有力候補です)
インサイトの好調は不況といえど品質に見合った適正な価格に多少の割安感が
あれば、ものは売れるということを端的に現していると思います。

不況の中では食品分野は比較的堅調に動いていると思います。
1998年にベーベ工房をスタートさせた頃は食の安全の意識は低く
規模が大きい=安いが良いこととされていましたので、小規模な生産者が
手作りで材料を吟味して作ったものは市場の隙間を縫うような商いを
するしかありませんでした。その後BSE騒動や偽装事件そして中国産製品の
問題が起きてからは、安全な食は100円均一価格では手に入らないということが
不況の中でも認知されてきたように思います。

但し安全な差別化製品が割高といっても限度があるのも事実です。
あくまでも感覚なのですが、フレッシュチーズつまり日持ちのしない
ベーベ工房も製造しているモッツァレラやリコッタは国産の大手メーカーの
ものより200円以内で高い範囲なら許容される雰囲気は感じます。
1000円である程度のおつりが来る範囲といえば分かりやすいでしょうか。

適正価格というのはもちろん品質が前提ですが人間の心理状態による
要素も大きいと思います。多分ハイブリットカーなら200万円を超えるか
超えないかが分かれ目なのでしょう。
自分なりにお買い物をしてチョコでもケーキでも化粧品でも高いと安いの
境目を自分なりに感覚としてわかること。時には損して「シマッタ!」と
思いながらその感覚を磨くことは自分の製品を作るものにはとても
必要なことだと感じています。私は今までいくら散財したことか...............。
メス続き
このところメスの子牛が立て続けに生まれています。3月8日にジャージー子牛の
きらりが生まれましたが、今朝はまた元気なホルスタインのメスが誕生。
2月に生まれた2頭もいるので本当に忙しい。哺乳瓶はフル活動です。
メスが生まれなければ酪農は成り立たないので嬉しいですけど。(笑)

以前にも書いたのですが何故かメスばかり産む女腹の牛と期待をかけている血統なのに
オスばかり産む系統がいます。受精卵移植では予め性別を判断してから移植しますが
うちの牧場は人工授精のみ。生まれてみないとわかりません。

子牛は生後3日くらいはまだ足元も危なっかしい上にミルクを飲むのも下手で
世話も大変です。特に小さなジャージーはこちらもヘトヘト。
10日も経つと柔らかい青草を食べるようになりもぐもぐと小さな口を動かして
反芻もするようになりその姿はとても可愛らしいものです。

願わくばもうすぐ出産予定のベーベの孫牛が無事にお産をしてその子がメスであることを
願うばかりです。ちょっと欲張りかな?
製品仕様書
私がベーベ工房の製品をお取引先に営業するときに必ず添付資料として提出
するものが製品仕様書です。いろいろなフォームがあると思いますが
私が表示しているのが以下の証明書です。

 ① 使用している乳酸菌の種類
 ② ヨーグルトの場合は使用している国産の甜菜糖の製造会社の証書
 ③ 最新の乳質成分の検査証明書
 ④ 一般生菌数・乳酸菌数・大腸菌群・黄色ブドウ球菌数の検査証明書
 ⑤ 賞味期限の科学的根拠を示した検査証明書

このあたりが取引先が求めるデータであろうと判断しての添付書類です。
幸いこれらのデータを自発的に明らかにすることで先方もかなり安心して
こちらを信用して下さるようです。

食の安全のためには何といっても製造者が取引先や消費者が何をよりどころに
安心して売りそして食すのか、真剣に考えることが何より必要だと思います。
安易なビジネス用語を使うことは好きではありませんが情報開示に関しては

                先手必勝

これにつきると思います。食に限らず人間のお付き合いそのものがそうなのですが。
 
文章を書くこと
ブログを始めて1年以上が経ちました。
初期の頃の文章を読み返すと詰めが甘かったり訴えるインパクトが弱かったり
現在の文章に比べてかなり稚拙でちょっと恥ずかしかったりします。

現在私は仕事関係のこのブログの他に、趣味や普段の食事のことなどを書く
もうひとつのブログを書いています。酪農やチーズの情報を求める方にはあまり
役に立たない分野のことは分けた方が良いと思ったことと私自身がのびのび
書きたかったからです。そちらのブログでは長年好きだった音楽や映画のことも
書き文章に自分の感情を込めて書くことをしています。また大切な友人の方々
との思いを分かち合う場所でもあります。
(申し訳ありませんがそちらのブログは基本的に友人限定であることをご理解下さい)

文章に感情を込めて読み手に訴え、かつ感情過多にならず、ある程度客観的な
表現をするにはやはりトレーニングが必要だと思います。
詩人の大岡信さんが「良い本をたくさん読み、自分でもたくさん文章を書き
感受性を育てなさい」とおっしゃっていたことが今になってよくわかります。
先日自分が一番好きな恋愛映画のことを別ブログに書きましたが、書きたい
言葉があふれて収集がつかなくて、納得する記事にするためにかなり苦労しました。

このブログでもたびたび書いていますが私はベーベ工房のパンフレットなどの
文章を全て手がけています。限られた文字数で正確な情報を楽しくわかりやすく
だけど安っぽくならずに伝える作業は何度やっても楽しいけれど非常に大変です。
ささやかでもプロの生産者として、消費者の心に何かが残る文章を残すためにも
ブログで楽しみながらも感情を込めて書くトレーニングは今後も続けるつもりです。
それにはやはり芸術関係の題材は最適です。

「バレリーナは一日練習を休むと自分にわかり三日休むと観客にわかる」という格言が
ありますが、文章も同じように思います。ささやかなことでも何かを感じ客観的に
伝える作業を積み重ねることで仕事にも初めて応用が利くのだと思います。
そのようなスタンスで書いておりますのでランキングには全く関心がありません。
一年後にはどのように文章が成長して変化しているか楽しみです。
売り文句
某商業デザイン誌の最新号の特集が「言葉の力」。
広告や商品イメージをアップさせ消費者に製品の魅力が届く言葉やコピーに
ついて詳説されていました。私は特に「売り文句」に注目しました。
例えば永谷園のお茶漬けのりのパッケージにある「我が家の定番」は商標登録されて
知的財産として認められています。

私もベーベ工房の製品につける売り文句は考えています。
今年後半~来年にはこの言葉を使って何かを作りたいなと思っています。
そのキーワードを公開しますと

                しんぷる

どこか可愛らしい印象が残るようにひらがなで表記します。

   添加物が一切ない原材料のシンプルさ
   作るプロセスの昔ながらの良さを持ったシンプルさ
   作り手である私たちからお客様の手に渡るまでのシンプルさ

を「しんぷる」の一言に込めたいと思います。
出来上がりをどうぞお楽しみに。
やりきれないニュース
酪農でも食のことでもない記事ですがショックなニュースだったので書きます。
群馬の老人福祉施設で火事があり入所者7人が焼死したニュース。
地元も何も我が家から5分のところでの出来事です。

夕べ11時頃消防車のサイレンがけたたましく鳴りました。時間が経つにつれその数が
増えて救急車のサイレンも聞こえるに及んでこれはただ事ではないと気がつきました。
朝になるとニュースやワイドショーでこの火災のことが大きく報道され上空には
取材のヘリコプターが何台も飛んでいました。
焼死者7人というのも驚きましたがこんな小さな集落に県警が100人態勢で捜索にあたる
ことも極めて異例でした。

実は数日前、偶然にもこの施設がいささか問題があるのではないかということを地元の
知人たちと話したばかりだったので本当に驚きました。
既に報道されているように23日に県が立入り調査をする予定だったとか、防火設備が
されていなかったなどの問題点が次々に明らかになっています。
こんな小さな田舎町で焼死された方はほとんどが他県の方だったそうです。
ニュースではこの地域は「周辺は農地や山林」と紹介されていました。
普段住んでいると住宅街と思っていましたが都会の感覚では山林なのでしょう。

群馬は風が強いので有名です。夕べは幸い強風ではありませんでしたが
強風だったらと思うとぞっとします。近くの牧草地を見に行った主人が痛ましい
焼け跡にショックを受けて戻ってきました。
田舎はモラルのない福祉関係者による草刈場ではありません。
強い憤りを感じつつ、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。
群馬県とセブンイレブンのコラボレーション
ローカルな話題ですみません。
3月18日に群馬県とセブンイレビンジャパンの間で「地域活性包括連携協定」
が締結されました。防災・食育・地産地消をテーマにした製品の販売など幅広い
分野での業務提携だそうです。

セブンイレブンHP

さしあたってわかりやすいのがお弁当やデザート。
牛乳プリンやミルククリーム入りのパンなどには私の所属する組合でお馴染みの
「ぐんぐん群馬のウンMY牛乳」のロゴが入っているのが何だか嬉しいです。
普段見慣れたマークですがこうやって一般の方に手にとっていただけるのは
酪農家から見ても新鮮な喜びです。例えて言うと、見慣れた夫と外でデート
したらときめいたというような気持ちですかね。(笑)

コンビニは一昔前は全国どこでも画一的で同じものが売られているというイメージ
でしたが、ここ数年は地域の食材を使ったお弁当など「ご当地もの」が充実
してきています。何といってもコンビニ業界は不況の中でも強い。
コラボレーションをするのはなかなかの試みだと思います。
望むことは目にも味覚にも新鮮でおいしく飽きさせないラインナップとその中から
定番商品に育ってゆくものが出てくれること、でしょうか。
注目したい企画です。当分コンビニ通いが続くかもしれません。
それが企業の戦略だとわかっていてもね。(^^)
おひとりさまでいる勇気
最近は農協などに所属せず個人で生産から販売まで手がける農家(酪農家も含む)も
増えましたが、農家は農協に所属する家が多いので協働や協調を要求される
世界だと思います。若い世代は多少は違ってきていると思いますが、誤解を恐れずに
言うとまだまだ人と違ったことをするととかく言われる世界でもあります。

私たちもチーズやヨーグルトを作る日に組合のイベントがあれば出られませんし
多少の雑音も聞こえてきたこともないわけではなりません。
でも私はベーベ工房があるから我が家の生活が成り立っている以上何を置いても
何を言われようと、きちんと製品を作って出荷することを最優先していますしそれを
恥じようとは思いません。特にチーズ。ちょっとした温度管理の差もてきめんに
品質に響きます。作る日はずべての雑用や応対は私がやるようにしています。

私は元々、心許せる友人がいさえすれば中学生くらいまでの女子がよくやる
「トイレも集団で行く」ということをやらなくても平気な性分でした。
自分にとって一番優先すべきことをする時は多少の雑音もスルーできますし。
ある意味腹が据わっている(と言われる)からベーベ工房の仕事に集中して
これたように思います。

最近の農業への安易な参入や就業ブームには強い懸念を持っているのですが
旗振り役を自認する方々は果たして希望者に「おひとりさまでいる勇気」を
持たせる器がおありなのでしょうか。特に販路の開拓やデザインや企画は
個人の資質や個性のみで成り立つ分野です。回りの目を気にして好きなことも
我慢するようでは自分のブランドを確立することは不可能です。

ベーベ工房をやっている間は安全な牛乳を搾り、おいしくて愛される製品を作る
ことを最優先するつもりです。食の安全に厳しい目が注がれる現在生半可な
気持ちではできません。ブランドということ自体がまず個性そのものですから。
ベストセラーよりロングセラー
最近思うのが、電話が鳴りっぱなしなどの爆発的な売れ行きよりも長くお客様に
愛される製品を作って売りたいということ。いわばベストセラーよりロングセラーを
ということです。ベーベ工房ももうすぐ11周年目。今まで大切にしてきたことを基本に
できれば25周年を迎えられるようにできればいいなと願っています。

ところで4~5年前のブームの頃ほどではないですが相変わらずカフェを扱った
本や雑誌は多く出版されています。装丁がお洒落なものが多いので私も時々
買っています。いつも思うのですが、カフェは本当に新しい店がオープンしては
すぐにクローズする目まぐるしい世界だということ。
一体1年で何軒がオープンし5年後には何軒が残っているのでしょうか?
カフェ事情からは、ロングセラーになる秘密がわかるような気がします。

私は元々カフェ(ちゃんとご飯も食べられる喫茶店)が好きなのでいくつかの
ご贔屓カフェがあります。地元ではチェーン店ですが「貴族の森」が好き。
パスタもコーヒーも程よい価格でおいしいしゆっくり本も読めるから。
地元ではこのくらいですが東京や京都にはいわば心のカフェと形容したくなる
大切な存在のカフェもあります。例えば京都の立命館大学の近くの老舗カフェ
「山猫軒」。新婚の頃主人とも行ったし一人でも数回行って強く心に残っています。

京都・山猫軒

お店の名前は宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」からだそうです。
決して便利な場所ではないですが大学の側なのでいつもお客さんがいます。
山猫軒はコーヒーやオリジナルのドリンクもおいしいしカレーやハンバーグも
手作りでおいしく、手作りのケーキも素晴らしいです。しかも手作りドーナツまで
あるのには感涙ものです。(笑)決して奇をてらったメニューではないけれど
きちんとしたテクニックの上に正統派だけど新鮮味のあるメニューが揃い
本もゆっくり読める。だからこそ20年以上も愛される老舗カフェなのでしょう。

カフェ本を見ると大体写真でどのくらいお店が続きそうか分かる気がします。
5年以下と思われるのは次のような店。(あくまでも私見ですので悪しからず)

 ① 明らかに思いだけで店を作って料理が素人レベル
 ② オーガニックなどに凝りすぎて客層が限定されすぎる店
 ③ 見るからに椅子が小さくてゆっくり本を読めない
 ④ 何でもワンプレートランチでなじみのない料理ばかり
 ⑤ 隠れ家といっても不便すぎの場所

逆に街の文化にまでなっている老舗カフェには次の特徴を感じます。

 ① 飲み物がコーヒーや紅茶を中心に本格的で良心的価格
 ② 店主がひとりご飯やひとりティータイムの価値を知っている
 ③ オリジナルのケーキ等が充実
 ④ 正統派のおいしいごはんメニューが充実。例えばおいしいカレーや
   ハンバーグ、パスタの類のもの。
 ⑤ 学生街は圧倒的に有利。ゼミやサークルの打ち合わせで常連がつく

要は小さな子供から老人まで受け入れてくれるおおらかさ+センスかな。

長くやるということは実はとても難しいことです。マンネリ化を防ぎ新たな
顧客を開拓しながら創業以来のポリシーは大切にして。
時々古い雑誌を見たお客様に電話でご注文をいただきます。
「まだ、やっていますか?」と開口一番聞かれる方が多いです。
2002年の雑誌ですらそう。(笑) 20年愛されて続けば立派な老舗です。
まず目標はそこまでやること、ですね。
初代ジャージーが乳母牛に
3月8日に生まれたジャージー子牛のきらりは2003年生まれのキャサリンの娘です。
キャサリンは我が家のジャージーの初代。すでに子と孫牛は搾乳していて
曾孫が去年生まれたちろりです。

実はキャサリンは本日、他の牧場に和牛の子牛用の「乳母牛」としてもらわれて
ゆきました。この牛は不器用なところがあり寝起きが下手で、寝起きの時に
踏んでしまい4本ある乳頭のうち2本はダメになっていました。
当然搾乳にも手間がかかり後継のジャージーも生まれているので本当は
去年あたり市場に出す予定でいました。でも愛着があることと受胎したので
主人が手間がかかるけど大切に世話をしてきたのです。
そして8日にきらりの誕生。でも牧場ではどんどん若い牛がお産をして置く場所も
なくなっているので肉にするのを覚悟で家畜商に相談していました。

家畜商は市場で牧場の情報交換をするのですが、そこで「和牛に乳をやる牛が欲しい」
という牧場の話を聞いたらしく、キャサリンは肉にするのではなく和牛のいわば
乳母牛として譲らないかと話を持ってきてくれたのです。
他所の牧場で役に立ち、生きることができるのは本当に嬉しいお話で二つ返事で
お願いしました。そして先ほどキャサリンは他の牧場に移ってゆきました。

寂しいけれど生きることができて本当に嬉しいです。2003年に後輩の牧場から
譲ってもらった初めてのジャージー牛。私が子牛から育てました。
娘、孫、曾孫も残し、最後に自身の2番目の娘を残してくれた孝行な牛でした。
本当にありがとうと言いたいです。和牛の子牛のために頑張って欲しいです。

グッドラック、キャサリン!
おいしいものの表現
自分がだんだん年令を重ねたせいか最近は騒々しい文章が苦手です。
たとえ熱い思いを伝えるにせよ、程よく抑制されてどこかゆとりのある文章が好きです。
これは食べ物に関する文章に関しても同じです。そして私もそのような雰囲気の
文章を書きたいと思うので折に触れて素敵な表現の本を手にとっています。

私がここで言う騒々しい文章とは、食べ物に関するものでいえば雑誌や直販のサイト
などでやたらと「!」(感嘆詞)やギャル文字や「TVで紹介されました」だの
「有名タレントも愛用」などの自己宣伝が過剰になされているものです。
私は自分のおいしいものへの思いは穏やかなユーモアを持ってかつ客観性を忘れず
抑制したスタイルで伝えてこそ、人にも伝わってゆくように思います。

私が好きな一冊がこの本。堀井和子さんのエッセイ「おやつの記憶をたどりにゆく」。
料理研究家でもある堀井さんらしい穏やかな美意識にあふれた一冊で写真も
美しくお取り寄せ帖としてもお薦めです。

堀井和子「おやつの記憶をたどりにゆく」

堀井さんのペンにかかると、本当においしいものは華々しい世界にあるのではなく
ひっそりと日常の街角にあることが伝わるようです。このエッセイを読んで紹介
されていた小さな和菓子屋さんが近くにあることを知り買いに行ってファンに
なった方も多くいるようである方は「さりげないけどまるで街おこしのよう」
と言っておられる方がいましたが、私も全く同感です。

岸朝子さんの「おいしゅうございます」の一言に権威があるのはひとえに岸さんの
長いキャリアとそれによって培われた高い見識があるからです。
おいしいものを語り伝える自分の言葉のスタイルは一朝一夕にできるものでは
ありません。まして生産者が自分の製品のことを伝えてゆくには正確な知識と
お客様の求める情報を念頭に置きつつ、自己満足や宣伝に終わらない美学が
何より求められるように思います。

そんな優雅さを目指した文章修行を私は生涯をかけてやりたいと願っています。
ジャージー子育て中
3月8日にジャージー子牛の「きらり」が生まれて1週間が経過しました。

ジャージー子牛誕生

きらりは順調に成長していて、名前を呼ぶと耳を動かして子牛小屋から
顔を出してくれます。哺乳瓶で1リットルのミルクをやっているのですが
ミルクも上手に飲めるようになり、柔らかい草も食べるようになりました。
初仔で小さかったちろりに比べて成長が早いです。
小さなきらりは檻をすり抜けてしょっちゅう隣りの4ヶ月の
子牛の部屋に入り込んでいます。別にいじめられたりはないのですが万が一の
ケガを考えて隣に入っているときは連れ戻しています。
息子は保育園に行く前に必ずきらりと遊んでから出かけます。

子牛のお仕事は癒しと息子の相手。
子牛を育てること手間だし神経も使いますがこれからも子牛から育てた牛の
牛乳を搾りベーベ工房の製品を作ることは守るつもりです。
大変ですが可愛い。だからやれるのだと思っています。
朝市のこと
先日の記事で鎌倉の野菜の即売所(レンバイ)のことを書いたときに引用させて
いただいたトーキョワッショイのブログの記事。その中に「トーキョー朝市」という
カテゴリがあったので開いてみるとたくさんの朝市が東京にはあるのでびっくり。

中でも下の杉並区役所で月に1回行われる群馬県の東吾妻町の野菜市。
杉並区と東吾妻町が姉妹都市という縁で行われているとのことですが
記事にあるように毎回新鮮な野菜を求めて大盛況とのこと。
群馬県の人間としてとても嬉しいです。

吾妻の朝市

ところで群馬にもたくさんの直売所があり観光客だけではなく地元民も利用するの
ですが、家庭菜園で野菜を作っている人間も多く季節の野菜や果物が身近に
ありすぎて、逆に杉並区の朝市のようなワクワクした熱気を感じることが少ないです。
鎌倉の野菜も地元にあるけど希少性があるから地元民が愛着を持って大切にして
自然発生的に地産地消が根付いているように思います。

朝市のときめきは都会人ならではの贅沢な心のオアシスなのかもしれません。
田舎の人間はちょっぴり切ないような..........。
○○バカでなければできない仕事
一つ前の講演会・セミナーの記事に的確で現場を知る生産者ならではのコメントを
下さったファームデザインズの社長さん。いつも本当に真摯で示唆に富んだコメントを
ありがとうございます。社長のコメントの方がより心に響く力を感じました。
社長のコメントの中にこんなユーモア溢れる一節がありました。

 >ましてや、農業だけでなく、自分で販売まで手がけようなんて無謀な試みは・・・・・・
努力家とかそんなことよりバカでなければやっていけません(笑) あ、けいさんごめんなさい。

思わず笑ってしまい深く共感しました。農業~加工~販売をやっている社長や私たちの
ような仕事に限らず、食の仕事は「○○バカ」でなければできないところがあるし
そういう人間にこそやって欲しいと思います。お金が儲かるからというまず計算
ありきの人よりとにかく「好き」が先に立つ愛すべきバカたち。
この「バカ」は純粋な気持ちという意味で決してそれしかできないという意味では
ありませんので念のため。一流の野球選手が自分のことを「野球バカ」ということと
同じ意味で「バカ」という言葉を理解して読んでいただければ幸いです。

うちの主人がチーズバカなら私は「お取寄せ&おいしいもの探し&ギフト」バカ。(笑)
大切な料理人のお友達は明らかに料理バカ。(笑)ワインバカの尊敬する友人も
います。共通しているのはおいしく安全な製品や料理を作るための技術を磨く事や
誠実に食に向き合ってそのための情報収集にアンテナを張って、端から見ればただの
苦労でも本人は苦労の中にでさえ喜びを見出すというところ。

このブログでもさんざん書いているのですが、昨日の記事を書いた後は余計に
○○バカでなければ真っ当で安全でおいしい農や食はできないと感じています。
農や食の仕事は株式取引や先物取引とは絶対に違います。
作ること、自然や動物と向き合うこと、おしいものを作る技術を磨くこと、
販売のための情報を収集してお客様と向き合うこと、一目ぼれしてもらうために
デザインにのセンスを磨くことetc.....。
どれをとっても本当に「好き」が先立つものでなければできません。
○○バカになりきることができること。それが何よりの適性だと考えています。

チーズコンテスト会場で全国のチーズ職人が集まると、いかにもチーズバカが
集まって壮観です。でもどの人の顔も本当に味わい深い良い表情です。
彼らに比べれば私などまだまだ。普通の主婦そのものの表情です。(笑)
講演会・セミナーについて思うこと
最初に、本音を書いているので読んでいて不快な強い表現があればお詫びします。

先日、某金融機関の方が農業関係のセミナーの案内を持ってきて下さいました。
金融機関も最近は不況のせいか、農業ビジネス参入を始めたところもあるようです。
今回の案内の講師の方々の顔ぶれとあまりにも初心者向けの漠然としたテーマに
参加の予定はありません。銀行の方の

 「ベーベ工房さんもプロとして販路を広げるために是非ご参加を」 

という言葉に少し違和感を感じました。

「講師の方の会社が年商いくらかわかりませんが
 11年一人で営業も企画もやって自分達なりに成果をあげている人もアマチュアですか?」

「ベーベ工房は酪農をしながらすべて手作りでやっているので年商何億は無理ですが
 億単位の売り上げがない小さな生産者はプロではないのでしょうか?」

とやんわり問いかけた私に「何も知らずに本当に申し訳ありません」と。

私がずっと思っているのは小さな規模できちんと生産している個人の農家は
どんなに成功をしても億単位の売り上げはないし、そんな儲けだけを目指してやって
いるわけではないし、プライドもあるということです。
きつい言い方ですが農業=ビジネスとして全国規模で生産者を傘下に入れ
手数料や講演料で利益を上げている会社と、私たちのように基本の農業も全て
やり生産~営業・デザインまですべてやる個人は同じ農業と言っても職種が
違うとすら思います。

私とてテーマを決めた講演会やセミナーはスケジュールがつけられて関心のある
テーマならなるべく参加しています。(例えば去年の県が主催した商業デザインの
セミナーなど)だけどある程度の実績をあげた生産者もまるきり新規参入志す
新人も同じように対象にして、莫大な年商をあげている会社の人が壇上から
文字通り上からモノをいうことには抵抗を感じることがあります。
ましてマスコミで有名だとしてもその会社がまだ創立3年にもならなければ。

私はどうしてもわからないことや知りたいことは、信頼できるバイヤーや社長
そして行政の方、ブログを通じて知り合った食の見識の高い方などに
積極的に教えていただくようにしています。
また半分は趣味と楽しみでも、食や農のことは積極的に本も読んでいます。
実際に生産をしている方の一言に多大な影響を受けたことも多々あります。

今年は不況でいつになく農業が注目されているようです。
異業種からの参入も多いと聞きます。農業も最後は規模はどうであれ適正な
利益を上げ食べていけるものでなければなりませんが、それでも私は
「年商何億」「サクセス」「ビジネス」という即物的にお金を連想させる言葉に
抵抗があります。そしてこういう漠然とした農業の起業セミナーの主催者に
申しあげたいのは特に農と食は拝金主義的な考えにはなじまない非常に
微妙で繊細なものだということを理解していただきたいと思います。

決して井の中の蛙にはなりたくないし、必要なら若い世代の方からもどんどん
教えを乞いたいです。ただ私の場合その相手を選ぶ基準が規模や年商
とは違ったものです。センスや製品そのものの魅力、生産者としての情熱。
私はそんな方なら少々無理をしても講演会に行きますよ。
ただそのような本物の生産者と言える方が講演会で全国を飛び回る
時間があるか疑問ですが。皮肉な口調で申し訳ありません。
小さな酪農家の妻の遠吠えと思ってくだされば幸いです。
初心に返ろう
ここ数ヶ月間密かに悩んで苦しんでいたことがあります。
それはベーベ工房の仕事に対して

 ① この先どのくらいの期間、今までのモチベーションを保てるか
 ② 集中力や好奇心を失わないでいられるか
 ③ 年を重ねてゆく中でセンスや感受性をアップできるか

ということでした。幸い現在のところ新規のお取引先も決まり仕事は順調です。
でも将来に向けて上記のようなことを考えてしまい時々落ち込むことがありました。
あまりに苦しくなってみっともないと思いつつ信頼できる方や、限定記事でブログの
お友達に気持ちを吐き出してしまいました。幸い皆さんがご自分の経験を踏まえて
的確かつ愛情にある助言や励ましを下さってかなり気持ちが晴れました。
本当にありがとうございました。

私は商売の素人として夫を支えてベーベ工房の仕事を夢中でやってきたので
自分は初心を忘れてマンネリ状態になることは絶対にないと思っていました。
でも振り返れば11年。日頃のなかなか外出もできない事情もあり気がつかない
うちにワクワクするようなときめきや好奇心をこのところ感じることが少なく
なっていました。精神的な疲労もあるのかもしれませんが。

思い起こせばまだ酪農家と結婚するなど予想もしていなかった頃から私は
おいしいものを見て歩く小さな旅やお出かけが大好きでした。
デパ地下も好きですが、とれたての野菜や魚の市場を見たりそれらを商う
小さな店を見るときの得もいえぬ好奇心はたまらなく心地よいものでした。
そういえば、忙しさにかまけてもう何年もそんな高揚した気持ちを忘れていました。

突然思い出したのが、結婚前は月に2~3度は行っていた鎌倉のこと。
海岸の眺め、おいしいレストラン、とれたての相模湾の魚、そして地元の野菜。
鎌倉駅からすぐの鎌倉市農協連即売所(通称レンバイ)。
昭和3年から続く素朴だけど鎌倉らしいスタイルを持った直売所が大好きでした。
農家の方と会話しながら野菜を選んだり本当に楽しい思い出がたくさんで
私の農や食への好奇心の原点ともなった大切な場所です。

鎌倉市農協連即売所

3月末は息子も春休み。息子を連れて4年ぶりに横浜の実家に帰りあの鎌倉の直売所に
行ってみようかと思います。ついでに江ノ電に乗って七里ヶ浜の海岸にも。
初心にもう一度返ってみること。数字や売り上げやブランドの前に食にときめくこと。
素人ゆえに真っ白な心で感動できたあの頃。
生き生きした心を取り戻すために5年ぶりに鎌倉に行ってきます。
ジャージー子牛誕生
3月8日。ジャージーのメスの子牛が誕生しました。
母子共に元気です。ジャージーのメスの子牛は去年8月にちろりが生まれて以来。
ちろりの入っている部屋の隣りにいるのですがもう立ちました。
息子は誕生に歓声を上げて大喜びで「きらり」という名前をつけました。
初仔だったちろりは本当に小さかったけれどきらりは4番仔なのでわりと大きく生まれました。

ところできらりはちろりの曾祖母にあたるキャサリンの娘。
自分のおばあさんの姉妹が自分より年下なんて人間の世界ではありえないですよね。
これで母娘4代の4頭のジャージー牛にもう1頭が加わりました。

ジャージー子牛はホルスタインより小さいので哺乳も大変です。
でもあの茶色の小さな子牛は理屈ぬきで愛らしい。
当分ジャージー子牛の育児に追われますが頑張ります。(^^)

毎日がハレ
12年前に結婚した時、とにかく休みがない酪農の仕事に心身ともに参った時期が
ありました。特に会社員時代の名残で週末になると寝込んだこともしばしば。
群馬の寒い気候で風邪は何度もひくし慣れない環境のストレスで帯状疱疹まで
患いました。本気で自分がこの先やっていけるか悩んだこともあります。

だいぶ心身ともに落ち着いた頃、ふと思ったのは「ささやかなことでも毎日をハレの日
にして楽しもう」ということでした。おそらくこの頃よく買っていた人気料理研究家たちの
本の影響だと思われます。お正月もGWもなくまとまって家族旅行など不可能な
酪農家の生活。だったらそのお金をお気に入りの食べ物のお取り寄せやお気に入りの
食器や本やCDに費やしてもバチは当たるまいと考えました。
お取り寄せはいわずもがな、ですが一時はかなり和食器に凝りかなり揃えました。
自分用のご飯茶碗だけでも5個は持っているほどです。

お気に入りの調味料、食材、食器、音楽や本。そんなものにささやかな感動を
感じるたびに私は強くなっていったと思います。加えてベーベ工房の仕事が
忙しくなってからは回りの目を気にするより自分の価値観や美意識を育てようと
一種の開き直りもできました。農村に都会からある程度の教育を受けた女性が
嫁いで苦しむ原因のひとつに「回りに合わせないと叩かれる」ということが
大なり小なりあります。私も2年くらいはどんなに好みが合わなくても合わせる
努力もしましたがベーベ工房を成長させるためには無理な我慢はマイナスということが
わかってからはどうしても好みの合わない集まりには出ない勇気も持ちました。

現在は息子もいて本当に毎日が忙しく、優雅に食器を選んでいる時間はとれなく
なりましたが文章を綴ったりすることで新たに感じたり発見することも多く
それなりに「ハレ」の気持ちを味わっています。
でもおいしいものに出あえた時の高揚感が一番のハレかな。(^^)
おいしいもの好き
私が食に関する仕事をする方に求めるのは、まずおいしいものが好きという気持ちです。
食への好奇心と言い換えることもできますが、バイヤーさんとお話する時もまず先方が
商売や利益を離れても食べ物が好きかどうかだけはしっかり見るようにしています。
私自身はブログを読んで下さる方ならお分かりと思いますが、食べ物に対する関心は
好きを通り越してもはやマニア。(笑)元々好きだったこともありますがベーベ工房を
プロとしてやるようになったこともありおいしいものを食べたりお取り寄せしたり
プレゼントすることにも「仕事に必要」という大義名分までつきました。

というのは半分は冗談ですが、本当においしいもの、ロングセラーのもの
素敵なパッケージのもの、希少的価値のあるものを実際に手にとって食べることで
身につくものは本当に大きいものです。本や著名人の講演会などでは決して
感じることのできない感激や感動。私は若い時に(もちろん分相応な範囲で)
優れた芸術や学問にお金をかけると同じようにおいしいものにお金と時間を
費やすことは「生き金」だとさえ考えています。

「同じ釜の飯を食べた仲」という言葉があります。たとえ遠く離れて一緒にテーブルを
囲うことは叶わなくてもおいしいものが本当に好きな同士は不思議に心を通わせる
ことができます。考えてみれば人間の最大本能の一つが食欲。
そこを共有できる同士が感情を共有できるのは当然なのかもしれません。

昨日のエントリーを書きながふと思ったのは生キャラメルで巨万の富を築いたあの
タレントの「おいしいもの好き」という評判は聞いたことがないということ。
そういえば賞味期限を偽装していた有名料亭の社長もそう。
もしかしたら、分野こそどうであれ食のプロフェッショナルに必要なのは専門知識や
技術以前に純粋に「おいしいものが好き」という気持ちなのかとも思います。
私は今後仕事でスランプに陥ったとしてもこの気持ちだけは大切にしたいです。
しようと思わなくてもできるとこれだけは断言できるかな。(笑)
牛を飼いながら作ること
今週発売の「週刊新潮」に大きく掲載されていたタレントが手がける牧場&製品のこと。
名前を出して記事にはあるのですがブログでは名前は出しません。
(夕張に生キャラメルの工場建設予定といえば誰かおわかりかと思います)

牛を飼いながら製品を作ることは本当に大変です。
大規模に作るとしたら全く部門を分けて酪農と製造を分離しなければ絶対に不可能です。
ベーベ工房もお客様の求める数に応じられなかったり待っていただくことがよくあります。

この週刊誌の記事を書いた記者はわりと食のことをご存知のようで何箇所か
「他所からの供給品」という言葉がありました。週刊誌に書かれている牧場に
牛は観光牧場程度しかいないのは周知の事実です。記事によると牛乳もメーカーから
購入し、ホエー豚もチーズも全て他所で他人が製造・生産してその牧場のブランド名で
売っているものだと。だからあれだけ大量生産ができるのだと。
関係者は私が実際にお会いした方もおられて全て実名で証言。
多分本当のことなのでしょう。こんなに地元で一種のスキャンダルが出てくる
背景にはこの社長自身が酪農家が作る製品のあるべき姿とでもいう美学がないまま
お金と自己顕示欲が肥大してしまったことがあると考えています。

表示に関する法規制がどうなっているか調べるつもりですが、私は大手メーカーの
ものも含めて乳製品(キャラメルやアイスなども)には牛乳の生産者(組合や地域など)
を明示すべきだと思います。もちろん委託して作っている場合は製造者の名前と
住所も。消費者側にしても「牧場の手作りって言っているけど本当かな」と漠然とした
疑いを持たずに食べられるほうが安心だと思うのですが。

この週刊誌の記事の中に北海道大学の農学部大学院教授の言葉がありましたので
引用させていただきます。

 「生産から加工販売まで行う場合、需要に応えようとしすぎると原料を外から
  買ってきて、単なる加工業、製造業になってしまう可能性がある。」

まさしく正鵠を得た言葉です。酪農家が牛を飼い自分の手で作る製品は
本来小規模で、あまり儲からない仕組みになっているのかもしれません。
私は酪農家ブランドでビジネスをして億単位の年収をあげたいという方を
否定はしませんが、せめてどこの牛乳を使いどこで製造しているかだけは
消費者のためにもきちんと表示していただくことを強く願っています。  

余談ですが、私はベーベ工房の仕事をしている間はこの社長が言われるように
サクセスとかビジネスとか生々しくお金を連想する言葉を使いたくありません。
そしてもうひとつブランドと言ったときに言葉だけが独り歩きしないように
それも頭に入れておきたいと考えています。
お知らせ
申し訳ありません。確定申告のため2日ほど更新をお休みします。
週末には提出できるように頑張ります。

コメントに対してのお返事は明日にアップさせてください。
よろしくお願いいたします。
良いバイヤーの条件
ファームデザインズの社長が下さったコメントを読み改めて良いバイヤーとは何か?
と考えました。生産者がすべての製品を自分で直売するのでなければスーパーや
百貨店にお世話になることになります。その取引のカギを握るのがバイヤーです。
以前にも書いたことがありますが、特に小規模な生産者の製品は
バイヤーの資質によってその運命が決まるといっても過言ではありません。

バイヤーのこと

私が良いバイヤーだと思う条件を思いつくまま書いてみたいと思います。

 ① 農や食に関心がある
 ② 小規模生産者の生産活動に理解を示すことができる
 ③ 流行で終わるものと育ってゆくものを見極めることができる
 ④ 安全でおいしい食は安くできないことをわかっている
 ⑤ 消費者に商品説明をすることが好きである
 ⑥ 農産物は自然に左右されることを理解している
 ⑦ 休みの日でも他の店を見ることが好き

などでしょうか。とかくスーパー、百貨店と大きく括られる小売業界ですがバイヤーの
資質によってそれぞれが全く違います。
ベーベ工房は才能あるバイヤーに育てていただきました。
農家の生産者にとっては初めは敷居が高いかもしれませんが良いバイヤーとの
出会いは必ず何かをもたらしてくれます。不況で数字の面だけで判断される風潮も
あるようですがこれからの農や食のためにも良心的なバイヤーが活動できる
場が保たれるように強く願っています。

                  
さすがにプロの仕事だ
現在、某の百貨店系列のスーパーの取引の準備中です。
こことは諸事情があり冷蔵会社を通じての取引となります。
この冷蔵会社が大会社ではないもののさすがにプロ!の仕事ぶりで
ひたすら感嘆しています。

先日このブログで問屋(冷蔵会社なども含めた中間業者)でも新規参入で
きちんと食の知識がない会社もあると書きましたが、この会社はそれと
正反対です。まずレスポンスが早い、食や安全性の知識が十分とこれだけでも
安心です。お取引先となるスーパー自体も独自基準を設けた情報開示や
HPでの公開など非常に厳密な基準で商品の取扱いをしています。

僭越な言い方で恐縮ですが、やはり食のプロフェッショナルとの仕事は新たな
視点を持つことができ非常にプラスになるし楽しいです。
中間業者は生産者とお店に提案ができるだけの力量があってこそ。
改めてそう感じながら仕事を進めています。
続・おいしさの根底にあるものは
昨日の記事に対して同じ酪農家ブランドを持ち首都圏でも大人気のファームデザインズの
社長さんから感動的なコメントを頂きました。本当にありがとうございました。
催事の記事の時と同じように読者の皆様にも読んでいただきたく、社長のコメントを
紹介させて下さい。

ファームデザインズさん

>生き物を飼うということはきれい事ではないというけれど、ま、そうなんだけれども、でもね・・・・・
はらすえてこの世界に飛び込んだものと、「体験」という「アトラクション」のような感じでこの世界をのぞきに来た人とのギャップは、どうにも埋めがたく。いま不況で農業への転職がもてはやされつつある世の中だけれど、「こころしておいでなさい」と、そっとテレビに向かってささやく今日この頃です。

 農業だけで食べていくことは並大抵のことではありません。天候や災害などどうにも
 ならないことに左右されることも多いからです。米や野菜農家の苦労に加えて
 酪農など畜産農家は「命」「死」というものに嫌でも向き合わざるを得ない仕事です。
 酪農体験、食育というなら、特に就農に向けての体験なら牧歌的なイメージだけを
 教えるのではなく、悲惨な光景もきちんと見せるべきだと思います。
 病気や難産による牛の死は何年やっても心に傷を残すこともあります。
 特に夏場。週末やお盆など牛の亡骸を取りに来るまでの時間がかかる時の悲惨さ。
 大きな牛が牛舎で斃死した時に仲間の酪農家の手も借りて外に運び出す時の
 気持ち。今でこそ感情に折り合いがつきますが、初めはこんな光景を見たら実家の親は
 娘を不憫がって泣くだろうと考えました。アトラクションでは絶対に耐えられない。
 生業(なりわい)だからこそ耐えられるものだと私も同感です。 

> 1年のうちに何回も、20年もやっていれば何百回もこういう事に出会うことになります。牛たちも早ければ4,5年で入れ替わっていく。1番から始まって、いまうちの牛の耳標が700番台ということは700頭の牛を見送ってきたということです。

 全く同感で社長の言葉がひとつひとつ胸に響きました。12年前に結婚した時ベーベの
 母の検定番号が99番でした。それが今やもうすぐ200番台です。一番今古い牛が
 136番です。うちのようにごく中規模な牧場ですら100頭を私は見送ったことに
 なります。牛は毎日世話をしてまして子牛から世話をするとただ経済動物と割り切れる
 ものではないですよね。4才の息子ですら老齢牛を市場に出す朝は黙って見送ります。
 同じ酪農家ブランドを持つ社長にだからお聞きしたいのですが、こういう切ない思いも
 抱えながら製造~販売そしてデザインなども手がけるのが我々の仕事なわけで
 そこの微妙な感情を想像することもなく「ガンガン売ればいいんですよ」
 「商売人はもっと図太くなきゃ」とあっけらかんと言われると違和感を感じることが
 おありではないですか?そこの微妙な感情を少しでも共有できる人とじゃないと
 結局良い仕事はできないように思います。

> こんなつらいことも伝えていくのが、私たちの役目だと、思いますよ。自分たちが何を食べているのか。キチンと伝えていくのが、大切だということを怖がってはいけないと思います。危ないもの、汚いもの、大変な目に遭うことを遠ざけてきたいまの教育は、「とんでも人間」を作る下地になっていると思えて仕方がないので。

 私は勇気がなかなか持てなかったのですがこの言葉は本当に励みになります。
 食育といってもこういう負の部分も教えてゆかなければ。
 昔のリーダーになるべき家の親は子供にこういう社会の悲惨な部分も見せたそうです。
 あのダイアナ妃が将来国王になるウィリアム王子が少年時代にホームレスや
 エイズ患者の現状をきちんと継続的に現場に連れてゆき見せていたということも
 これに繋がるものです。お受験をしてエリートに我が子をさせたいなら社会の生き物の
 そして自然の厳しい実態を見せるべきと私も深く共感します。

酪農家のブランドだからこそ伝えなければならないこともある。
このことは全ての酪農家ブランドを持つ製造者が真摯に考えなければならない
ことだと思っています。社長にこの場を借りまして心より御礼申しあげます。
 
プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

ベーベ工房のアドレス

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