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「我々は職人です」という言葉
先日の報道番組で放映されていたスーパーの安売りの特集。
タイトルの言葉は豆腐をスーパーに卸す事を止めた老舗の豆腐店の社長の言葉です。
このブログでも度々書いているように、不況に入り露骨に加速するスーパーの安売り競争。
大手スーパーは「地域一番の安さ」を合言葉に、本来の原価がわからなくなるような
価格設定すら一部の食品にはしています。

特に利用頻度の高い卵、豆腐、牛乳は集客の目玉となるため安売りのターゲットとなります。
今回の番組では豆腐をピックアップして特集していました。
富山県のあるスーパーではまともな品質と価格の生鮮品を扱う一方で集客のために
38円の豆腐も毎日売り場に陳列。今夏には公正取引委員会から指導を受けたという
究極の廉価販売、20円の豆腐まで販売していました。地元の豆腐製造組合は対応に苦慮。
長い組合の歴史の中でもここまで卸し値(原価)を買い叩かれたことはかつてなかったそうです。
「消費者は値段だけでなく、品質で選んで欲しい」という組合長の言葉が悲しく聞えました。

こんな作り手としての誇りを踏みにじるような価格に毅然と経営方針を変えることで
「NO」と言ったのが冒頭の言葉の社長です。
ここは古くから手作りの豆腐や油揚げを製造している豆腐店。
社長はあまりにも安く売るスーパーに納品することは一切中止し、製造量は減っても
作り手の誇りを守ることができ、正当な利益を得られる百貨店や通販に販売の場を
シフトして幸い売り上げも好調のようです。昔ながらの製造工程の豆腐、一枚ずつ
丁寧に作られる大きな油揚げ。社長のプライドが製品から伝わる逸品です。
「我々は職人です。ものの正当な値段を知らなければなりません」全く同感です。

番組の中で経済評論家が語っていたことも秀逸でした。
「あまりにも安い食べ物を買うことにはある種の覚悟が必要だ」と。
行過ぎた安売りはデフレを招くだけではなく、原価を抑える事に窮した生産者がやむをえず
偽装をする可能性も十分にあるという指摘は正鵠を得ていると思います。
番組のタイトルは「安売りの果ては」というもので、やんわりと廉価販売を批判するスタンス
だったことはとても参考になりました。今日の朝日新聞でも触れられていましたが、安全な
食を手に入れるには消費者にも常識が必要だということ。
廉価販売に歯止めをかけるには食の安全とモラルが伝家の宝刀になるかのかもしれません。

追記

  関東では見かけることの少ない大きな油揚げ(京揚げ)は京都や京都の食文化の影響の強い
  地方で愛用されています。良質な植物油で揚げた少し厚みのある油揚げです。
  野菜と一緒に炊くとそれだけでメインディッシュになりますし、さっとあぶっておつまみにも
  向きます。冷凍保存ができるので私も取り寄せてストックしています。
  私は京揚げが大好きなのでギフト用にもオプションでお願いしています。

京揚げについて

これは京都の「とようけや」さんの京揚げ。ご参考までに。
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スティング
1973年度のアカデミー賞の作品賞を受賞した「スティング」。
大学時代に何度も名画座で見たという夫のマイ・フェバリットな映画です。
私が全編を見たのは最近ですが、とにかくカッコイイ映画。知的でウィットに富んで。

  主演は  ゴンドーフ(ポール・ニューマン) 伝説の大物詐欺師
        フッカー(ロバート・レッドフォード) 若い詐欺師
        ロネガン(ロバート・ショウ) マフィアのボス

物語は複雑なのですが、一言でいうと、若い詐欺師フッカーが自分の師匠を殺したマフィアの
親玉、ロネガンに復讐をするために今は落ちぶれた暮らしをしている伝説の詐欺師ゴンドーフ
に協力を依頼。二人の間には友情が芽生えてゆき.........。ラストのあっと驚くトリックでの
どんでん返しが有名な物語です。
マフィアだの詐欺師だのいわば暗黒界が舞台ですが、主役3人の軽妙な演技とアカデミー
音楽賞に輝いたスコット・ジョプリン作曲の「ジ・エンターティナー」のコミカルなメロディー
がこの作品を優れたコメディにしています。

このテーマ曲で1917年に貧困のなか世を去った黒人のミュージシャンの草分けともいえる
スコット・ジョプリンと彼が作曲した多くのラグタイムがようやく正当な評価をうけるように
なったという点でも忘れがたい作品となっています。



今年9月26日に83才でこの世を去ったポール・ニューマンとこの時期が俳優として全盛だった
ロバート・レッドフォードが「明日に向かって撃て!」以来二回目の共演です。
この二人は私が小学生の時は既に大スターで、「とにかくカッコイイ」と周りの大人たちにも
彼らの大ファンが多い存在でした。自分が40代になって「スティング」を観て当時の大人の
気持ちがよくわかりました。本当に二人ともカッコイイ。その一言。

彼らの魅力は一言でいえばそのスタイルだと思います。容姿だけでない知性や勇気
などの人としての魅力が、スクリーンを通じて伝わるその稀有な存在感。
ポール・ニューマンもロバート・レッドフォードもリベラリストで時の大統領にも
抗議する勇気があり、環境問題や安全な食のこと、そしてポール・ニューマンは
マイノリティー民族の子供達への奨学金制度を作ったり、二人ともこの映画当時も
その後も俳優や監督業も頂点を極めながらも社会への問いかけや弱者への労わりを
自身のライフスタイルにするまで本気で取り組んだ大スターでした。

自分の生き方のスタイルというものは決して一朝一夕にできあがるものではないし
まして流行の洋服を着て外見を飾ることでは決してないと思います。
自分が好きなことをとことん楽しみながら努力して、成功すれば周りの人にもそれを
伝えて分かち合って、励ましてそんな生き方こそが本当にカッコいいスタイルを
作り上げてゆくのかな、とこの二人のスターの人生を見ていて感じます。
美男というだけなら綺羅星のごとくいるハリウッド。でも何人のスターが彼ら
以上の存在感で観客を魅了し続けているでしょうか。

私も40才を過ぎて生き方のスタイル、というものが何となくわかってきました。
夫の場合は、地道にまっすぐに努力し続ける才能がきっと彼のスタイルだろうし
私のスタイルは若いときから変わらない好奇心とおいしいもの好きが核になっているし。
スティングの粋な魅力がわかる今になって観ることができて幸せです。
昔、周りの大人の言っていた「カッコイイ」の意味がようやく氷解した気分です。
お薦め度でいうと星5個満点の映画です。お正月休みにでもいかがでしょうか?
乳価支払い前倒し
このブログでも繰り返し書いている来年3月からの乳価10円アップ。
先日組合から通知が来て、乳代の値上げが12月分から前倒しで行われることが
決まりました。年末は支払いが多く苦しい酪農家の経済事情に配慮したものです。
といっても12月からプラス10円ではありませんので少し説明を。


     12月  + 4円
      1月  +2円
      2月  +2円     となります。

トータルが10円でなく8円なのは理由があります。一般の方にはわかりにくいのですが
10円というのは飲用乳価で、その他に現在交渉中の学校給食向け&発酵乳等向けの
価格の比率換算すると8 : 2となるのでトータルが8円になります。

実際の数字を目にすると残念ですが思ったほど乳価は上がっていません。
それでも今夏までの異常な飼料やガソリン代の値上がりが止まって値下がり傾向なので
今年よりはましな状況になるとは思います。今年はとにかく異様な状況でした。
長期的な見通しが全く立たず、現状維持が精一杯でした。
来年は安定した経営ができる状況で穀物市場が推移して、次のステップに
行くための気持ちの余裕ができる酪農の情勢であることを願っています。
とはいっても恐慌レベルの不況が肌で感じられる現在、ハイリスクなことはできない状況ですが。

それにしても、乳価の値上げが決定したのが10月中旬。それからほどなくアメリカの
金融ショック。あの後だったらどうなったんだろう。乳価。
今年は酪農への緊急対策として税金を投入して、酪農家への支援策も手厚いものが
ありました。心からありがたく思っています。
牛を健康に飼い、安全でおいしい牛乳を生産することで責任を全うしたいと思っています。
プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

ベーベ工房のアドレス

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