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ローカル牛乳
まこやんの日記にとても興味深い牛乳の話がありましたので引用させていただきました。

大沢牛乳

埼玉の小さな大沢牛乳の方が大手の牛乳より自然な風味でおいしかったとまこやんが
率直に綴っています。さすがにプロの酪農家。味の差は牛乳の殺菌方法の違いに
あると的確な分析が分かりやすく書いています。

牛乳の種類の話を少し専門的ですが書きたいと思います。
牛乳の殺菌方法はいくつかあります。

①一般の牛乳に多い130℃2秒などの超高温殺菌

②65℃30分などの低温殺菌

などが主なもので、市販されている牛乳の大半は①の超高温殺菌の牛乳です。

ここ10年ほど本来の牛乳の栄養や風味を損なわない低温殺菌牛乳も増えました。
(大手ではタカナシ乳業のものなど)タンパク質が熱で変性されていないので
焦げ臭がなく、さっぱりとして私はこちらが好みです。

群馬の東毛酪農のノンホモ&低温殺菌牛乳はとてもおいしいヨーロッパでも通用する
牛乳ですが、乳質そのものが高いレベルのものが求められます。
つまりリスクも伴うということ。個人的には埼玉のローカル牛乳のこの大沢牛乳の
ように85度15分の殺菌方法でも、一般的な超高温殺菌牛乳よりは自然な牛乳の
風味が楽しめると思います。

このあたりの技術的なことは主人が詳しいのですが、大手メーカーの大きなプラントでは
機械の構造上低温殺菌は難しいそうで、低温殺菌牛乳を製造している会社は比較的
小規模なローカルな会社に多いのです。(タカナシ乳業も低温殺菌牛乳は葛巻工場で製造)

群馬でも今やすっかり少なくなりましたが、伊藤牛乳や田中牛乳など昔ながらの
小さなプラントで製造しているメーカー(酪農家)もいます。このような牛乳は製造量も
少ないので地元の限定販売。病院や昔なら銭湯の売店とか。 

私もプロなので牛乳の殺菌温度の知識はあるけれど、75度でも85度でも好きだな
こういうローカル牛乳。こういうローカル牛乳を見かけると夏場意外は即買い!な私。
私にとってのジャンルは「ローカル牛乳」。それで十分。 

ホエイパウダー製低脂肪乳
酪農の業界新聞にイオングループのPB商品に4月から1リットル98円の低脂肪乳が
発売されたとありました。脱脂粉乳よりもさらに安価なホエイパウダーを多く用いることで
98円という価格を実現。ホエイパウダーの定義については下記のサイトをどうぞ。

乳製品の定義

簡単に言うとチーズの製造過程でできる乳清(ホエー)の水分を飛ばして粉末にしたもの
がホエイパウダー。ここ2年くらいの間に菓子パンや菓子の材料欄で多く目にします。
ベーベ工房ではモッツァッラを製造するときにできるホエーを原料にリコッタを作りますが
大手のメーカーでは下手をすると産廃。これを商品化したものがホエイパウダーです。
(注:ホエーを使ったチーズは欧州では伝統的でAOC認定のブロッチュもそのひとつ)

業務用ホエイパウダー

ここからは少し文体を変えて本音を書きます。私の中(多分多くの酪農家も)でのランクは
以下の通り。

      生乳    >    脱脂粉乳    >ホエイパウダー

理屈の上ではホエーには栄養がある、という触れ込みですが、生乳に比べてまずいと
いわれる脱脂粉乳よりさらに風味が落ちるのがホエイパウダー。
たくさんの方がブログで「おいしくない」「薄くて牛乳と全く違う」と書いています。
おいしいという感想は皆無だったような。(笑)

昨年秋から急激に悪化した消費不況の影響でとにかく安いものを売りたいという
小売業界の気持ちは少しはわかるけど、10年前は乳飲料としてもありえない
ホエイパウダーが主原料の低脂肪乳なんて、日本の食の(というか味覚の)レベルも
下がったものだと。ビタミンD配合とかローカロリーなどの優位性をうったっても
しょせん98円で売っても利益が出るレベルの材料。裏街道とまでは言いませんが
もうちょっと遠慮がちに広告してくれませんかね。

もちろん肥満が気になる、アレルギーがあるなどで普通の牛乳より低脂肪乳が
必要な方もおられます。脂肪分だけカットした牛乳や脱脂粉乳を混ぜた低脂肪乳
(大体150円前後)くらいまでは感情がついてゆくけどホエイパウダー製のものは
ちょっと。しつこいけど1リットル98円ですよ。(牛乳は180円~220円)
それを生活応援の良品と言われても。 

牛乳関係を見ているとここ数年40年前より基本的なことが貧しくなっていると思います。
なまじ加工技術や香料が進化したからでしょうか。
私は小学校1年生から給食は牛乳でしたが、少し上の世代だと小学校の給食は脱脂
粉乳でした。(主人は3年だったそう)あの脱脂粉乳のまずさで学校嫌いの子供がいたり
大変なシロモノだったそうですが多分ホエイパウダー製の乳製品はそのレベル。
片やあいかわらずの相変わらずのグルメ嗜好。片や味より安さの三流品。
第三のビールが売れて今やビールは贅沢品だそうですから。 

そんな中でブランドとしてやってゆくのは本当に大変だけれど頑張ります。
塩野七生さんの「品格もパワーになる」という言葉に習えば「おいしさも品格になる」
という気持ちでしょうか。

夏の牛乳になりました
4月の後半からまだ肌寒い日もありますが、初夏のような陽気の日も増えて
牛の体も「夏仕様」に変わってきたようです。
つまり乳脂肪分が低く薄い味の夏の牛乳を出すようになったのです。
月に3回データが届く組合の検査結果の数字を見るまでもなく同じ量の牛乳から
できるチーズの数が少ない(歩留まりが悪い)のですぐわかります。
注文になるべく対応できるように寒い時期よりも多目の牛乳をバルクから取って
チーズを作りたいと思います。

最近は牛乳のパックにグラフで一年を通しての乳脂肪分の平均値を表示しているので
一般の消費者も牛乳の成分が季節によって変わることが一目でわかるようなり
牛乳の知識の普及に一役買ってくれています。
ベーベ工房を始めて間もない頃はお客様に時々質問の電話をいただき説明を
していたので随分変わったと実感しています。

野菜や果物(最近はハウス栽培も多く季節感が薄れたと言われますが)と違い
牛乳は一目で季節がわかるわけではありませんが、味やそしてチーズを作る
主人の手から季節の移ろいは確かに伝わっています。

東京の老舗の葉茶屋の若奥様のお友達からメールをいただきました。
そこには

「GWの頃は新茶の季節で仕入れなどでお茶屋は忙しくしています」

と記されていてまぶしい若葉が目に浮びました。
食べ物を通じて四季を感じて味わうことは生命力を感じ、だけどとても繊細な
喜びを感じさせてくれることを実感させてくれたお友達の一文でした。

牛乳は100%国産
お友達のまこやんが非常に興味深いエントリーを書いていて私も牛乳が100%国産と
いうことを改めて考えてみました。

D-1ブログ「牛乳は100%国産」

現在、飲用牛乳は100%国産で輸入は認められていません。
まこやんが書いているように「輸入飼料も与えているから若干気持ちにひっかかりがある」
ということにも同意、なのですがでも私は牛乳は100%国産だと胸を張っています。
輸入飼料をもし原料と考えたら、手作りのお菓子もお惣菜も「油は輸入原料のものだから
国産品ではない」ということになり、それこそ禅問答のようになってしまいます。

このエントリーに寄せられたコメントにあるように、子牛から手塩にかけて育て
毎日の牛の管理と搾乳を休みなくやって厳しい乳質基準をクリアして牛乳を
出荷すること。ここまで手間と心をかけていることを消費者にわかっていただけると
嬉しいし、このプロセスを見る限り「牛乳は100%国産」と胸を張っても良いと考えます。
オーガニック飼料だの100%自給飼料といってそれが理想だとしても、個々の酪農家
ごとに立地条件も労働条件も違います。それを言い出せば本当にキリがない。

我が家はほとんど導入牛はいなくて、代々うちで改良を重ねた系統の牛を大切に
飼育しています。私はベーベ工房のセールスポイントにこの部分を挙げていますが
消費者の方もご理解いただいているようです。
牛乳は特に腐敗も早く細心の注意を持って処理されます。
100%国産。多分このことは酪農家のプライドの拠り所になっているはずです。
もちろん私も。そしてまこやんも同じだと思っています。
地産地消の牛乳
ベーベ工房は県内のいくつかの旅館にヨーグルトを納品させていただいています。
その旅館から地元産のビン入り牛乳の適当なものがないかお問い合わせをいただきました。
(ベーベ工房は残念ながら牛乳の製造はしていないのです)
お忙しい中すぐに調べていただき、県から県の乳業メーカーの一覧表をいただきました。
大手メーカーの工場を除くと数は多くはないものの小さな牧場で牛乳を製造されている
ところもあり、そちらをお教えしました。
また観光牧場として名高い伊香保グリーン牧場もかなり以前から自家産の低温殺菌牛乳
を製造しています。

伊香保の旅館やホテルは地元の素材を料理に積極的に使う地産地消に非常に
熱心なところが多いです。野菜や肉だけでなく乳製品にまで地元のものを使おうと
される熱意は非常に嬉しいものですし、もしお問い合わせをいただければお役に
立てればと思っています。

友人の働くイタリアのレストランでは「ゼロキロメートルの素材」つまり自家菜園で
取れる野菜やオリーヴオイルも大切にお客様に供されています。
これは究極の地産地消で簡単に真似ができるものではありません。
そこまでは無理としても、県外から群馬にお越し下さるお客さまにとって
地元の素材を使ってのおもてなしは地元の人間が考える以上に心に
残るものなのだと思います。何でも「御馳走」という言葉の語源は主人が
お客様をもてなすために回りを駆け回って食材を手に入れて調理することから
来ているそうです。地産地消はその意味で御馳走なのですね。

観光牧場などでは観光客向けの価格設定がされているところが多いですが
業務用、つまり旅館やホテル、レストランなどに対しては業務用価格での
取引も考慮することも県産牛乳の取引の拡大に有効だと思うのですが
どうでしょうか。あくまでも私見ですが。

何度もいろいろな方から「牛乳はないの?」と聞かれてきましたが残念ながら
牛乳の製造はしておりません。それだけ小さな個人の牧場の牛乳はニーズが
あるのだろうと思うと何だか嬉しいです。


プロフィール

けい

Author:けい
①群馬県でホルスタイン50頭、ジャージー牛5頭を飼養する家族経営の酪農家マダムです。

②1998年からベーベ工房というブランドでヨーグルトとモッツァレラチーズ及びリコッタチーズをハンドメイドで製造しています。安全でおいしい製品を誠実に作ることを信条としています。

③土作り、飼料作り~製品作りまで一貫して製造しています。

ベーベ工房も13周年を迎える事ができました。牛のこと、チーズのことなど日々のささやかな出来事を綴っていきたいと思っています。

ブログのスタンスですが、酪農とチーズのこと以外の、管理人の
趣味のことも書いてあります。なお記事の無断転載やコピーなどは
ご遠慮くださいますようお願い致します。

製品に関するお問い合わせは以下のアドレスにお願いします。

ベーベ工房のアドレス

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